東日本大震災被災地を訪ねて
七ヶ浜町
【概要】
視察を行ったのは下記の通り。
・震災3年後(2014年4月下旬)
・震災7年後(2018年4月下旬)
・震災8年後(2019年4月下旬)にも視察した。
・震災10年後2回目(2021年9月上旬)
七ヶ浜町は、東は仙台湾に半島状に突き出している。背面(西側)は貞山堀があり、あたかも島の様である。背面は北から塩釜市、多賀城市、仙台市と接している。津波は仙台湾に面した菖蒲田浜で浸水高が海抜10mを超えている。七ヶ浜町全体の死者・行方不明者は77名である。
【視察報告】
2014年4月30日
震災3年後(2014年4月下旬)は本塩釜から県道23号を通り貞山橋を渡って七ヶ浜町に入った。時計回りに巡って、仙台火力発電所裏から吉田浜を回り、菖蒲田浜を訪ねた。菖蒲田浜では防潮堤の復旧は遅れているが地盤の嵩上げが進められていた。なお、汐見台など高台の住宅は被害を受けていない。
2018年4月24日
震災7年後(2018年4月下旬)に2回目の視察を行った。仙台港から多賀城を通って菖蒲田浜を目指した。七ヶ浜町では、コミュニティに配慮した住みやすさを重視した災害公営住宅(菖蒲田浜、花渕浜、代ヶ崎浜の3カ所)と、笹山の防災集団移転(128戸)を視察した。
2019年5月2日
震災8年後(2019年5月初旬)は仙台から菖蒲田浜を通り、吉田花渕漁港に立ち寄った。5月の連休でもあり、多くの観光客でにぎわっていた。
2021年9月4日
震災10年後の2回目(2021年9月上旬)はUR都市機構が整備計画をしたという代ヶ崎(よがさき)漁港の住宅地の視察に向かった。代ヶ崎漁港は津波被害が小さかったのか、防潮堤や住宅の嵩上げはさほど高くはなく、防集の住宅も少なくて参考になるものではなかった。一方、岸壁の内側には「おはじき」で描いた画が多数あり、観光客の姿があった。
【七ヶ浜町】
津波 |
浸水高 |
約3~7m |
遡上高 |
菖蒲田浜で12m |
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死者(関連死)行方不明者(2021年3月) |
81人(関連死3人) |
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人口推移 |
2010年 |
20,353人 |
2020年 |
17,883人 |
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増減率 |
-12% |
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主要地域 |
菖蒲田浜、花渕浜、吉田浜、代ヶ崎浜、仙台火力 |
〇被害状況と復旧状況
・町全体
・仙台のベットタウン化しており、台地上に多くの住宅があるが被害はない。
・大きな被害は漁港や、菖蒲田浜、花渕浜などの沿岸部の住宅。
・復興公営住宅にコミュニティづくりの工夫がなされている。
・菖蒲田浜
・大きな被害が出たため、大きな防潮堤が建設された。
・かつての住宅地は壊滅的な被害で、笹山地区の高台に集団移転した
・約100世帯の復興公営住宅がある。
・花渕浜
・約50世帯の復興公営住宅がある。
・吉田浜
・二つの漁港が被害を受けたが復旧している。魚市場付近にはホテルや
レストランができるなど観光地化している。
・代ヶ崎浜
・漁港は被害が小さそうで漁港も住宅も復旧している。
・防潮堤は嵩上げ面から1m程度。壁面を使って「よがさきおはじきアート」
ができて観光客を呼んでいる。
・仙台火力
・津波によって大きな被害を受けたが、約1年後に復旧した。
〇10年間の視察結果と感想
・沿岸部は被害を受けたが、町役場、小中学校、高台の住宅団地等に被害はない。
・沿岸部の漁港は復旧しており、今後、大きな変化はないと思われる。